ハンバーグの歴史

vol.07

ハンバーグとユッケは親戚関係にあった!?

諸説あるハンバーグが誕生した経緯。
中でももっともポピュラーなのは、「タルタルステーキ」(生の牛肉や馬肉を粗くみじん切りにした料理)をルーツとする説になります。

■硬い肉をミンチにして食べやすくすることから始まったハンバーグの歴史

タルタルステーキが生まれたのは13世紀ごろ。中央アジア(現在のロシアからモンゴルの辺り)の遊牧民タタール族が、ヨーロッパに侵攻していた時代のことです。
馬で移動するタタール族にとって、乗り潰した馬も貴重な食料でありました。しかし、馬肉は筋張って硬く非常に食べづらい…。そこで、馬の鞍の下に肉を置き、乗り手の重さで押し潰すことと馬の体温の相乗効果で柔らかくし、さらにそれを細かく切り叩く料理を開発しました。
「硬い肉を柔らかいミンチにして食べる」
この発想が現在のタルタルステーキの原点となり、タタール族の侵攻とともにヨーロッパに広まったと言われています。

■焼き上げたタルタルステーキがハンバーグになった!?

ヨーロッパでは、馬は重要な労働力であるため、牛などの別の家畜に料理法が生かされます。
そんな中、17世紀ごろのドイツ・ハンブルグでは牛の生肉を使ったタルタルステーキが大流行。そこで、ある領主が「より美味しく楽しむために焼き上げること」を料理長に提案し、これが一大ブームに!
ハンブルグはヨーロッパ最大の貿易港なので、焼き上げることで航海中の保存食としても重宝したと言われています。

「Hamburg」=ハンブルグ=ハンバーグ。

これが、今に続く「ハンバーグ料理」の原点とされています。

文献によっては、タタール族は自生している玉ねぎやチャービルなどの香草を混ぜ込んで肉の臭みを消す工夫をしていたとの記述も見られます。
中央アジアは玉ねぎの原産地でもあるので、ハンバーグに玉ねぎを入れる工夫もタタール族がルーツといえるかも知れません。

■タルタルステーキが朝鮮半島に渡ってユッケになった!?

さて、本題。
タタール族はヨーロッパの他に現在の韓国にも侵攻しています。
本来、仏教文化により肉食が禁じられていた朝鮮半島ですが、タタール族が統治したことにより、肉食文化が根付くことに。
その流れから、タルタルステーキをベースにして、「肉の刺身」を意味する「ユッケ」が生まれたようです。

ユッケは生の牛肉を細かく刻み、醤油や砂糖、コチュジャンなどの調味料で味付けするのが特徴。
現在でも一部のフランス料理店などで楽しめるタルタルステーキは、生の牛肉を細かく刻み、醤油や砂糖、オリーブオイルなどの調味料で味付けするのが特徴です。
基本スタイルが似ているのはルーツが同じだからこそ。
薬味、卵黄を混ぜ合わせて食べる点が共通なのも、ルーツが同じであることを裏付けているのではないでしょうか。

タルタルステーキがヨーロッパに渡ってハンバーグに、朝鮮半島に渡ってユッケに。
ハンバーグとユッケが親戚関係と言えるのは、どちらもタルタルステーキがルーツにあるからなのです。

ハンバーグとユッケ

更新:2018年10月19日
※ 内容は記事更新時の情報です。
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